「今の制吐剤は優秀だから、もう吐かない」——そう思っていた。でも現実は違った。
乳がんと診断され、初回のddEC療法(密度強化EC療法)を受けてから1週間。ようやく日常が戻ってきたいま、あのときのことを正直に書き残しておこうと思う。これからがん治療を始める方へ、そしてその家族に何かの役に立てたら。
1日目:帰宅後から嘔吐が始まった
点滴が終わり、家に帰ってすぐだった。吐き気より先に嘔吐が来た。「あれ、吐き気どめもらったのに?」と混乱しながら、何度もトイレへ。水を飲んでも吐いてしまう。
脱水が怖くなり、薬を飲んでも止まらないため、その夜、救急外来を受診した。点滴と注射による吐き気どめを打ってもらい、ようやく嘔吐がおさまった。その夜、初めてまとまって眠れた。
覚えておきたいこと
「制吐剤があるから大丈夫」とは限らない。
嘔吐が続くなら、我慢せず受診する選択肢を持っておくこと。
2日目:吐き気よりも「何もできない」がつらかった
翌日は飲み薬でなんとか吐き気をおさえられた。でも、何もやる気になれない。体に何かが足りているはずなのに、その「何か」がわからない。やり場のない、なんとも言えない感覚。ただただ、つらかった。
口が苦く、水がまずい。普段は水をよく飲むのに、まったく飲めない。いろいろ試した結果、いちばんさっぱりしたのは微温湯にレモン汁とはちみつを混ぜたものだった。
口の中がまずいときのヒント
微温湯+レモン汁+はちみつ。飲みやすさは個人差があるが、冷たくなく、酸味がほどよく、意外と助けられた。
3〜7日目:少しずつ、回復へ
3日目、フルーツがおいしく感じた。それだけで少し泣きそうになった。母が用意してくれた食事をなんとか食べられて、栄養が入ってくる感覚。「母がいなかったら」と思うと、言葉が出なかった。手術したこと、抗癌剤やること、この日まで家族に黙っていたのはまた別の話。
ほとんどベッドの上で過ごしていたので、お腹が張って腸が動かない感覚が続いていた。でも途中で人に会えたことが気分転換になり、その「動く」きっかけが体にも良かった気がする。
そして1週間が経ったいま、ようやく日常が戻ってきた。
これから治療を受ける方へ
制吐剤は確かに進歩している。でも「絶対に吐かない」わけじゃない。つらくなったら我慢しないこと。救急に行くのは「大げさ」じゃない。
家族のサポートは、想像以上に大きい。できることなら、そばにいてもらえる環境を整えておくこと。そして「これはいつまで続くの」という気持ちは、きっと誰もが感じる。あなただけじゃない。
看護師として12年間がん専門病院で働いてきた。でも「患者として」経験してみて、知ってる気でいたことがたくさんあった。この記録が、誰かの「覚悟」や「安心」のひとかけらになれば。

コメント